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COVID-19 (2)
2020年04月26日

 COVID-19と命名された新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るっています。最近でもコメディアンの志村けんさんに続き女優の岡江久美子さんも命を奪われ、慄然とする思いです。岡江久美子さんは私と同い年であり、余計に身につまされます。現在、特措法により外出制限が要求されていますが、透析患者さんは原則週3回の通院血液透析療法を止める訳にはいかず、当院でも感染予防に万全を期しながら患者の皆様方の透析療法を継続しています。

 透析患者さんは重症化リスクが高い群とされており、37.5℃以上の発熱が2日以上続けば、帰国者・接触者相談センターに相談の上、その指示に従ってPCR検査を受けることになっています。実際には、我が国の透析患者さんの2/3が65歳以上の高齢者、70%が高血圧合併患者、40%が糖尿病合併患者で、冠動脈硬化症併存も多い等、多くの危険因子を抱えておられます。我々もこの点は十分に認識しており、国際腎臓学会、日本腎臓学会、日本透析医学会、日本透析医会などが透析患者さんに特化したCOVID-19対策を随時発信しています。

 今年4月24日現在、全世界のCOVID-19罹患患者数は2,675,050人、死者数は186,462人と報告されており、人口1万人当たりでは各々3.47人、0.24人と計算されます。人口当たりで見ると、アメリカが患者数26.18人/人口1万人、死者数1.44人/人口1万人、スペインが各々46.12, 4.80、イタリアが31.33, 4.21、イギリスが20.57, 2.79、フランスが24.34, 3.36と報告されています。

一方、我が国では同じ日の患者数が12,829人(1.02人/万人)、死者数が334人(0.03人/万人)と報告されています。患者数はPCR検査施行の基準が各国で異なるので解釈が難しいですが、欧米各国と比べて死者数が格段に少ないことに気がつきます。我が国では大都市と地方都市で罹患率に差があり、東京都は患者数2.75人/万人、死者数0.07人/万人でしたが、大阪府は地方都市ではありませんが、患者数1.64人/万人、死者数0.03人/万人でした。

 では透析患者さんはどうでしょうか。日本透析医会の報告によると、4月24日現在、我が国で59人の方がCOVID-19に罹患され、残念ながら4人の方が亡くなられています。一昨年末の我が国の透析患者数は約34万人と報告されていますので、透析患者1万人当たりの患者数、死者数は各々1.74, 0.12と計算されます。大阪府のみのデータはありませんが、近畿地方(三重県を除く2府3県:総透析患者数 51,755人)では患者数6人(1.16人/万人)、死者数1人(0.19人/万人)とのことです(ちなみに東京都では患者数18人(5.48人/万人)、死者数1人(0.60人/万人)でした)。上述したような複数のリスク因子をお持ちの割には、良いデータといえるのではないでしょうか?その原因を考えるに、我が国の透析患者さんは私共透析医療従事者からの指導を真摯に受け止め、真面目に実践頂いていることが主因と思います。ほとんどの患者さんが、手洗い、うがい、マスク着用を実践され、政府のいう「3密(密閉・密集・密接)」を避けることを励行して頂いている結果であることは疑いありません。残念ながらまだまだ終息の気配が見えてこず、ご不便な生活をもうしばらく強いることになるとは思いますが、今しばらくの辛抱かと思います。私共も精一杯頑張りますので、患者の皆様方にもご協力頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

令和2年4月26日

福永 惠

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